平成9年に朝日新聞社より発行されたものです。
松葉一清著。
文庫判、260頁あります(巻末収録建築物関係資料を除く)。
本書についてカバーには「関東大震災の復興期に東京に出現した建築を集め、昭和初期の建築界が総力を投じて編集した写真集『建築の東京』を手がかりに、東京の都市の原点とその痕跡を求めて歩き考える。東京ーこの巨大都市はどのように現れたのか。多数の図版を採録、地図、一覧表を付した、読めて使える都市論。」とあります。
上記にもある通り、昭和10年に発行された建築物の写真集である『建築の東京』を解説したもので昭和63年に発行された単行本をその後の現存状況を編集し文庫化したものです。
〔目次〕
まえがき/1997年朝日文庫版『帝都復興せり！』刊行にあたって
序『建築の東京』を歩く
・『建築の東京』・・・都市の諸相　生活の諸相　建築表現の諸相　五百の教師たち
�都市の位相
地下鉄
・復興浅草の象徴　誇りの意匠　交通施設/装飾と無装飾
同潤会
・下町のジードルング　不燃都市を求めて　東洋一の末路
復興小学校
・ガラスの城　木造からコンクリートへ　光の建築/近代の体現　清新さへの評価
田園都市
・氷山の一角　学校誘致による沿線開発　拡大する市域
ターミナル
新興の街、新宿　商業主義の表現　百貨店の隆盛　ビル化する商店
�表現の位相
「自由」と「倫理」
・百家斉放の意匠　表現者の座標/「自由」と「倫理」　レーモンド/剽窃の美学
拡散の様式
・五つの様式/対立の構図　構造派の述懐　アール・デコ　表現派　ライト式　古典・中世主義
収斂の様式
・インターナショナルスタイル/表現の排除　分離派の変身　言挙げされる「東京中郵」　悲惨な現状
押し寄せる国粋主義
・和風の蔓延　国風とインター　自由様式の意味するもの
あとがき
『帝都復興せり！』あとがき１９９７
《巻末》収録建築物分布地図
『建築の東京』収録建築物リスト
現存を確認した建築物・・・地域別一覧

本書掲載写真は『建築の東京』からの採録が中心となっていますが近年に著者が撮影したものも含まれています。
本書発行より既に15年を経過しており、当時現存であった同潤会江戸川アパートほか撤去された建築物もみられます。
震災以降の東京における建築物を知るとても興味深い資料です。

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カビ臭及び古書臭があります。
全体的に反りがみられます。
カバーには汚れや焼け、折れ、破れ、すれ、めくれ、しわなどがみられます。
表紙・背表紙・裏表紙に汚れや焼け、折れ、破れ、剥がれ、すれ、めくれ、しわなどがみられます。
本体については汚れや焼け、折れ、読み折れ、折れくせ、破れ、剥がれ、書き込み、すれ、めくれ、しわなどがみられます。
天・地・小口に汚れや焼け、すれ、波打ちなどがみられます。
見返しには剥がしあと及び汚れがみられます。
新刊当時に装着されていた帯は現品にありません。
上記内容のほか、全体的にかなりへたっています。
美品ではありませんので資料性を重視される方にご入札いただきたいと思います。

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